2023年3月号掲載
「わたしは」から始まる自分のことを、できれば5分くらいで20個書き出してください。長所、短所、自分の嫌いなところ、好きなところ、思っていること、夢や希望、瑣末なこと・・・なんでも構いません。
例えば、
わたしは、頑固です
わたしは、運動が苦手です
わたしは、辛いものが好きです
わたしは、思ったことをすぐ喋る
わたしは、不器用だけど物を作るのが楽しいと思う
わたしは、特に趣味は無い
わたしは、いつも睡眠不足です など、どんどん思いついたことを書き出してみてください。
これは、就職などの面接時の自己PR対策で利用する「20答方」というものですが、今回はその仕組みは使わず、「自分はどういう人か」ということを自分で見るためだけに使います。
自分のことは自分が一番よく知っている、とよく言いますが、案外そうでもありません。5分で自分のことを20個あげられましたか?ただ、最終的な目的は5分で20個あげることではなく、10個でも15個でも構わず、自分を客観的に知ることが目的です。書き出したものを見ると、自分の思考の癖や、好き嫌いの傾向などがわかります。自己分析をすると、人とのコミュニケーションにも応用が利くので、ぜひやってみてください。
以前、中学校の相談員をしていたとき、相談室を利用している生徒にも書き出してもらったことがありました。「わたしは、小さい」「わたしは、虫になりたい」「わたしは、家の中が好き」「わたしは、字が綺麗に書けない」「わたしは、忘れ物をしても気にしない」というように、さまざまな「自分」が出てきました。生徒は、忘れ物をしても気にしない自分に改めて気づいたという言葉が印象的でした。このように意識の改善にもつながるので、子供にも遊びながらやってみるのも良いと思います。
また、複数人で書き出したものを見せ合ったりすると、自分の書き出した内容と他人が自分を見る印象が違ったりする面白さもあるので、見せ合うことを了承の元で楽しめると思います。
自分を知ると自分の価値観がわかり、それは他人と違うことがわかります。そして、自分と他人の価値観が違うことは、意見や考え方が違うということです。でも、違うことに正誤は関係ありません。違うことを認めることが大事なのです。
次回は、その違いを踏まえた「自分の価値観」についてお伝えします。