Step by step ワークライフコンサルタント日記

大人と子どもの「不安」の違い

2022年6月号掲載

 

例えば、学校に行こうとしない、活動をしようとしない子どもに「この子はやる気がない」という言葉を使う場面を見受けます。ほとんどの場合、怠けている、楽をしている、苦手なことを避けている、がんばれない・・という隠れたニュアンスの表現でしょう。なぜそう言うのでしょうか。それは、恐らく学校活動から外れたり、生活リズムが変わってしまうことで、親は今後の人生に不安を覚えるからと考えます。不安なことは、口に出したほうが軽減されるのでつい言ってしまうのだと思います。では、言われた子どものほうはどうでしょう。子どももそういう状態のときは不安に思っているはずです。でも、その不安はあまり大人には届きません。逆に、大人の不安も子どもには届きません。どうしてだと思いますか?

それは、大人が考えている不安と子どもが考えている不安が違うからです。大人は「人生」に不安を覚え、子どもは「今」を不安に覚えているのです。同じ不安でも大きく違いがあるのです。

それを踏まえて、子どもが「今」を不安に思っていることを承知してあげると、子どもに何を言ってあげたらいいか、どうしてあげるのがいいのかが見えてきます。そうすると、「この子はやる気がない」という意味が変わってくるのをお気づきでしょうか。子どもの「今」の不安に思いを寄せてみて考えてみてください。冒頭でお伝えした隠れたニュアンスにはならず、次のような解釈になると思います。

 『やろう(活動)と思っても今はそういう気持ちが持てない』

これは子どもの気持ちが前提になっていますね。

少なくとも「学校に行きたくない」と子どもが言うことは、とても勇気のあることです。不安を抱えながらも勇気を出したことを受け止め、安心に繋げてあげてください。まずは、「そうなんだね。学校に行きたくないんだね」と、子どもの気持を言葉に出して寄り添い、味方になってあげることが大事です。問題の解決をすることも大事ですが、「学校に行きたくない」ことだけを取り上げるのではなく、それを言った子どもの気持ちに少し踏み込んであげると良いと思います。

次に、親の安心先です。子どもの見方になったものの、親は不安のままと思います。そういうときのために、普段から信頼できる場所を見つけておくことをお勧めします。私の場合、子どもが小さいころからお世話になっていた近所の児童館の先生でした。日頃から児童館の活動に参加したりして顔をつないでおき、いざというときに相談できる環境を作っておくと、すでにお互いの信頼関係ができているので、話がスムーズに進みます。児童館の先生は、子どもたちの面倒以外にも親のサポートもしてくれます。子どもの様子もよく知っているので、話が早く、たくさん話を聴いてくれました。

他には、学校に配置されているスクールカウンセラーや、行政の相談機関などの専門家です。スクールカウンセラーは学校と連携していますが、先生に相談内容を知られたくないことを伝えれば、相談内容は保障されます(但し、希死念慮は例外です)。また、専門家でなくとも、普段から付き合いのある友達もいいでしょう。時間をつくってお茶をしながら話をするだけでも、気分が変わります。

いずれにしても、もやもやした気持を吐き出し、解決策が出なくても自分の気持が前を向いていることが大事であることを覚えておくとよいかもしれません。

 

次回は「自主性」についてお伝えします。自主性を育てるチャンスの一つは、”失敗する”です。さて、それはなぜでしょう。みなさんも考えてみてください。