2022年8月号掲載(7月号と合併)
子どもの主体的な意思、意見を尊重してあげてください。中でも、間違うことや失敗したことも尊重することが大切です。なぜ失敗したか、なぜ間違えたのかを考える機会を与えることで学び、自主性が育つからです。そして、失敗できる、間違えても批判されない安心安全な環境がとても大事です。成功や失敗も含め、子どもが安心して存在を感じられる居場所を確保してあげることです。居場所は家庭はもちろんですが、例えば近所の児童館や習い事先、(学校の)相談室、などが考えられるでしょう。そういった環境の中で、子どもの意思、意見を尊重してあげることで自主性が育まれていきます。
もしも、ある期間においてその力が育たなかったとしても、これからは間違えることも認めて、失敗を自分で乗り越える機会を持たせてあげてください。間違える権利を保障されることは、人としてとても大事な成長の機会です。そういうことを積み重ねていくことで自尊心が育ち、自分の存在価値を見出し、自己決定もできるようになっていきます。心の栄養が補充されてきているわけですね。補充されるには時間を必要とする場合もあるでしょう。しかし、積み重ねていった結果は必ずしっかりした形を作ります。それが土台となって、気持ちが落ちた時でも心を支えてくれるのです。
そして留意することは、子どもの意思、意見を尊重すること=親は何も言わない=放任、甘やかす、ではありません。「怒らない」ということです。「怒り」は、不安や感情の発散というだけで何の解決にはなりません。むしろ、子どもは怒られると「怒られるくらいなら何もしないほうがいい」と考えるようになり、行動を起こすときに「自分の意思で」ではなく「親に怒られないように」となってしまいます。そうなると「自分のせいではない」という責任転嫁の意識も生まれ、本末転倒なことになってしまうのです。
親は子どもを「見守って」あげられるようになると良いと思います。もちろん怪我や危険なこと、マナー違反に関わらない範囲においてです。親として心配な気持ちが大きくなっていくと思いますが、失敗も経験のうち、失敗したからこそ新しい気付きがある、失敗は視野を広げるきっかけとなる・・。このように、少し目線を上げて、俯瞰すると良いかもしれません。