Step by step ワークライフコンサルタント日記

価値観

2023年4月号掲載

 

人は、自分が経験してきた生育環境や社会環境、経験を通して学んだ価値観を、「自分」というフィルターを通して他者や物事を見ています。そのため、自分と違う他人の価値観を受け入れることが難しい場合があります。受けれるのが難しいと、「自分とは合わない」という構図になり、さらには価値観の違う人を否定するようになります。そうなると、対人コミュニケーションをうまく取ることができません。

価値観の違う人を「拒否」するのではなく、「そうなのか。あなたの考えていることは○○なのですね」と、認めることが大事です。

価値観に正しいとか間違いはありません。正誤を問うのではなく、お互いがお互いの考えを認め、それによって話題が広がったり更には相手を知ることができ、関係性ができていきます。相手の考えは自分の知らないことだったりすれば、新しい発見にもつながるでしょう。しかし、相手を否定してしまったらそこで終わってしまいます。何の発展もありません。否定をする前に一旦立ち止まり、「あなたの考えは・・・」と枕詞をつけて、自分の価値観と別のものと考えると良いかもしれません。そうすれば、受け入れる心の体制が整いやすいことでしょう。

価値観の違いを痛感するタイミングは日常でも多々あります。金銭感覚、生活面、休日の過ごし方、子育ての方向性、食の好みなどなど・・そういう場面で、相手が自分と違う考えだったときに、まず自分の物差しで測らないようにしましょう。

そして、相手を受け入れるときに、どうしても自分の価値観が邪魔をしてしまう人は、自分が感じていること、考えていること、自分の感情などを、普段から「なぜ」を付けて考えると良いでしょう。例えば、自分はなぜ怒っているのか、なぜ○○と言われて嬉しかった(悔しかった、悲しかった)のか、などです。そして、相手の言動にも「なぜ」を付けます。なぜ相手は(ラインやメールの)返事が遅いのか、なぜせっかくの休日にお昼まで寝ているのか、なぜ子どもは学校を嫌がるのか、などです。

なぜと問えば「それは・・」となり、さらにそれにもなぜを付けて問いを続けていくと、その本質が見えてきます。普段からこういう思考の癖をつけておくと、相手の言動に振り回されず、誤解や気持ちのすれ違いも少なくなり、コミュニケーションもスムーズになりますので、ぜひ試してみてください。